これまでのBPO市場から読み解く、BPOの未来(後編) 〜BPO/RPA総研研究員レポート〜|BPO/RPAのことならBPO/RPA総研

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これまでのBPO市場から読み解く、BPOの未来(後編) 〜BPO/RPA総研研究員レポート〜

 前編では、BPO利用が増加している背景について振り返りましたが、今回は世界のBPO市場及び、今後のBPO市場について解説します。

▼前編レポート:https://bpo-soken.com/report/2278/

 

1.BPO業界の世界シェア、22年までに14%増

 フィリピン情報技術ビジネス・プロセス協会(IBPAP)は、16年時点では11%だったフィリピンのBPO業界の世界シェアが、2022年までに14%に上昇するとの見通しを発表。フィリピンは世界市場を上回る成長率を維持するとみており、向こう5年で、業界の年間売上高を400億米ドル(約4兆5,000億円)、直接雇用者数を180万人に引き上げる目標を掲げています。

 IBPAPのレイ・ウンタル会長は「フィリピンに拠点を置きたいという問い合わせは多く、月平均3回は企業と会合を開いている。」とコメント。「世界市場の成長率は年間4~5%といわれるが、フィリピン市場の伸び率は売上高が9%、雇用者数が8%になる」との見通しを示しました。

(参照:NNAPOWERASIA/2018.7)

 

2.米BPO企業、9カ所目の拠点をクラークに開設で2,000人雇用

 米国の地元紙ビジネスミラーは、アメリカのBPO企業のVXIグローバル・ソリューションズが、同社のフィリピン拠点で最大規模且つ、フィリピンにおける9カ所目となる拠点をパンパンガ州クラーク経済特区に開設したと伝えました。投資額は300万米ドル(約3億3,000万円)で、2,000人以上を雇用する予定とのことで、新拠点は商業施設「SMシティー・クラーク」に隣接するオフィス棟内に位置し、2フロアに2,000席以上を設置。現在約185人が米国を中心とする北米の顧客向けにコールセンター業務などを提供しており、向こう2~3カ月で200人以上の増員及び、従業員数を年内に1,000人以上、来年以降は2,000人以上に増やす予定です。

VXIは2003年にフィリピンへ進出。従業員数は14年の6,500人から、現在は約1万4,000人まで増加。世界の従業員総数2万8,000人の半分をフィリピンが占める割合です。

(参照:NNAPOWERASIA/2017.7)

 

3.AI導入でハイスペック人材創出、BPOで30万人雇用増へ

 フィリピン地元紙マラヤによると、フィリピン政府は、人工知能(AI)技術を活用できる人材の育成で、BPO産業の雇用を30万人増やせる見込みと発表。AI人材のハブとして売り込み、世界のBPO需要を取り込む構想です。貿易産業省と情報通信技術(ICT)省は、AIを人間の一部の能力を手助けする拡張知能(AI2)として活用することで、AIに職を奪われるとの懸念を払拭するプログラム「AIプロズ」を始動。BPO産業では、AI導入で50万人が影響を受けるものの、80万人の雇用を創出し、30万人が純増すると見積もっています。

 現在BPO産業には、約130万人が従事しています。技能別では、「技能なし」が48万2,000人、「低位」が52万5,000人、「中位」が30万9,000人。拡張知能としてAIを活用することで、それぞれの職務の技能を1段階高め、ハイレベルな人材を創出できる仕組みです。プログラムの参加者には、AIオペレーターとなるための研修を、オンラインやICT省の全国の拠点などを通じて実施。コールセンターの音声通話業務はAIに切り替わっていく見通しですが、産業の高度化で世界のニーズを取り込めると期待しています。ロペス貿易産業相によると、世界のBPO市場は、潜在的な需要を合わせると年間2,620億米ドル(約28兆7,000億円)。外部委託されているのは790億米ドルに留まる予測です。「フィリピンのAI人材」を売り込み、小売りや金融、サービス、医療など各分野の需要取り込みを図ります。

(参照:NNAPOWERASIA/2018.5)

 

■まとめ

 世界でBPO市場は、右肩上がりの一途を辿っています。労働人口の減少による人手不足問題に直面する日本の解決策になり得るBPO。世界の導入事例を参考にしながら、日本もBPOを上手に取り入れ、企業を、国を豊かにしていきましょう。

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