働き方改革
働き方改革の狙いはどこにあるのでしょうか。一言で表現するならば、一億総活躍社会の実現です。
なぜ、一億総活躍が必要なのかといえば、超高齢化社会が迫っているからです。具体的には、日本の生産年齢人口が、総人口を上回る勢いで減少しています。生産年齢人口はピークの1995年と比較すると、2060年には半分になると予測され、働き手がどんどん減少していくことになります。
年金問題
もうひとつの背景は、年金の問題です。年金は高齢者を現役世代が支えるという構造になっています。このところ出生率が2を割って、2015年には2.3人で1人を支えていますが、2040年には1.5人に減少し、その後も厳しい状況が続きます。
医療技術の進歩もあり、長寿社会も実現されており、年金財政は厳しい状況が続いています。このような背景の中で、政府は年金受給の年齢引き上げなどを行い、年金財政の維持を図る方向にあります。
現在の60歳定年、65歳までの継続雇用のままでは、早晩65歳から70歳までの、年金空白期間が発生してしまいます。70歳まで働く、それが一億総活躍社会の厳しい現実かもしれません。
働き方改革の目指すところ
働き方改革が目指しているのは、①長時間労働の解消、②非正規と正規社員の格差是正、③高齢者の就労促進です。特に長時間労働は、慢性的な人手不足の中で、従来のアプローチを続ける限り、解決の目処が立っていないのが現状です。
2019年4月(中小企業は2020年から適用)より、労働基準法改正で、罰則付きの上限が設けられました。具体的には、時間外労働が1か月45時間、1年で360時間が限度となります。
今までは限度基準告知という緩やかなものでしたが、今後は1か月45時間、1年360時間を超えると、「法令違反」となってしまいます。
年6回の特別条項を結んでも、1か月の上限は月100時間以内、1年の上限は720時間に設定され、たとえ単月で100時間以内であっても、2~6か月のそれぞれの平均が80時間以内でなければなりません。労働時間の短縮はまったなしの状況です。
注目されるBPO
このような背景の中で、今注目されているのがBPOです。特に総務や人事、経理といった定型的なバックオフィス業務に、貴重な人材を投入することへの是非が問われています。
もちろん、総務や経理の業務が全て不要ということではなく、外部委託可能な業務をアウトソーシングし、コアな業務に人材を集中するというのが原則です。
正社員の業務の棚卸しや、人材派遣の拡大や職務限定雇用の拡大、生産性の向上に向けた評価基準の見直し、短時間勤務の導入や労働環境の改善なども進めますが、外部の活用が不可欠なことは理解できます。
BPOベンダーの戦略
BPOベンダーは各社の業務の中で共通の部分を抜き出し、属人的になりやすい要素を取り除き、業務の標準化を進め、効率化を進めます。委託企業は業務効率化とコスト削減を実現し、社員のコア業務への集中による付加価値の向上を図ります。
経済産業省によれば、日本企業の営業利益率は製造業でおおむね4%前後、卸売業が1%前後、小売業が2%前後、飲食業が8%前後です。それに比べて、米国企業の営業利益率は10%が当たり前と言われています。
この生産性の差は、日本企業が生産性の低い業務を社内に温存しているためとよく言われます。これからの国際競争を勝ち抜くためにも、働き方改革を進めるうえでも、BPOが戦略的な意味を持ってきます。
BtoBをメインにしてきたSIer、コンサルティング会社、印刷会社など多くの企業がこの市場に参入してきており、新たな成長産業になりつつあります。
(画像はイメージです)
▼BPO総研
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