インド、中国以外の海外BPO
海外のBPO発注先としては、欧米がインドBPO、日本の中国BPOが代表的ですが、他の国でもBPOベンダーが活躍しています。今回はインド、中国以外のBPOについて整理したいと思います。
タイ
タイは仏教徒が9割で、日本からの移住者も多い親日国です。周辺の新興国に比べて、インフラが整っており、手工業が盛んなので、手先の器用さも日本人に相通じるものがあります。自動車メーカーのスズキがタイに進出しているのも、モノづくりの感性を評価しているからかもしれません。
タイのBPOの業種としては、コールセンター、会計、IT関連が中心ですが、コールセンターと事務作業が中心になっています。最近はソフトウェア開発などが成長しつつあり、欧州市場を有望なターゲットとしています。
コールセンターの受託は120億円程度ですが、邦人在住者は世界で7番目と高く、日本人人材の雇用も可能です。労働許可証の取得を支援してくれる企業もあり、日本向けのBPOとしての可能性があります。
フィリピン
フィリピンの主要なBPO事業は、母国語の英語を活用したコールセンター業務です。フィリピンコンタクトセンター協会によるとコンタクトセンター業界の売上高は現在230億ドルで、年率10%以上の成長を続けています。
英語の発音がインドに比べて英語に近いので、インドを2010年に上回り、世界一のコールセンターBPO国になっています。
NTTコミュニケーションズ株式会社や株式会社テレマーケティングジャパンなどが、フィリピンのBPOベンダーと資本提携などの協力体制を整えていますが、コールセンターの場合は、日本語の壁がまだ立ちはだかっています。
ミャンマー、ベトナム
ミャンマーのBPOベンダーは中国に比べて人件費などが少ないので、新たなBPO市場として注目されています。
日本語学校なども設立されており、日本語能力やセキュリティ意識なども向上しています。勤勉で学習能力もあるミャンマーBPOは魅力的で、主に、データ処理や、画像加工などのIT系のオフショア開発が有望です。
ミャンマーの問題点は、インターネットと電力です。停電などに備え、自家発電機器などの整備が不可欠の条件です。
中国の人件費高騰への対策としてベトナムも候補の一つです。ベトナムは親日国なので、中国のようなカントリーリスクはあまりありません。日本の製造業も生産拠点をベトナムに持つ会社が多く、日本企業にとってもやりやすい国の一つです。日本では伊藤忠食品がBPOを委託しています。
米国
BPOは業務の一部をBPOベンダーにアウトソースする手法です。どちらかといえば、コスト削減効果が前面に出る傾向にあり、人件費の安い地域へのBPOが注目されますが、コア事業に集中するという考え方であれば、先進国であってもBPO展開が可能です。
日本の企業が米国や欧州に出展する場合には、大企業であれば、それなりの人材、体制が整えられますが、中小企業は、何から始めて良いかわからないというのが現実です。
ある飲食業は米国進出にあたり、クレジット決済や経理、販売管理などのバックオフィス機能を米国のBPOベンダーに委託しました。
日本側のスタッフはバックオフィス機能をアウトソースすることによって、店舗運営に集中することができました。結果として、お客様の満足度向上という結果になっています。
現地のクレジットカード会社と連携し、決済システムやPOSシステムの導入、社員の給与振り込みなどを実現しました。日本語がわかるスタッフを抱えることで、現地とのスムーズなコミュニケーションが進みました。
今回はインド、中国以外の外国、アジア及び米国のBPOについて整理しました。
(画像は写真素材足成より)
(画像はイメージです)