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自治体向けに活用されるBPO導入

2019.02.05

コラム

自治体向けに活用されるBPO導入

BPOと地方自治体
BPOは国際企業だけでなく、地方の企業や地方自治体でも活用されています。官公庁は基本的に単年度予算で動きます。民間企業のように、需要が拡大したので、人員を強化するといった柔軟な採用はできません。
典型的な特需事例としては、マイナンバーの導入があげられます。IDCによれば2017年のBPO市場で、最も成長したのが人事BPOサービス市場で、福利厚生分野のBPOに加えて、マイナンバー関連の臨時業務が成長に大きく貢献しました。

地方自治体でBPOに積極的に取り組みだしたのは、2006年の「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」がきっかけと言われています。今まで、自治体や官公庁が自前主義でやってきた業務を、民間に任せることによって、コスト面、サービス面の向上を目指すものです。
PPPの概念
その基本的概念がPPP(官民連携)です。PPPは行政が民間と連携し、民間の持つノウハウや、技術を活用して、財政の削減と、行政サービスの向上を目指しています。具体的にはPFI(Private Finance Initiative)法に基づいて、公共施設の管理、運営を民間に委託しています。

PPPは広い概念で、民間人材の雇用から、業務委託、指定管理者制度、貸与、民設公営、PFI、事業提携、補助・助成、民設民営、民営化などを含み、BPOもこの中に含まれます。

内閣府は2018年のPPP/PFI推進アクションプランで、今後予想される公共施設の老朽化や、公的負担の抑制のために、国および地方は一丸となって、PPP/PFIのさらなる推進を行う必要性があるとしています。
自治体向けBPO
矢野経済研究所は、IT系のBPOを除く、自治体向けのBPOは、2013年から2019年にかけて、年平均1.4%成長し、29年の同市場は3兆9800億円に成長すると予測しています。

同レポートによれば、地方自治体の予算が縮小傾向にあることと、サービス単価が下がってきたことによって、自治体向けのBPOの成長率は微増ですが、業務の一括調達をする自治体が増えたとしています。
宮城県仙台市の事例
宮崎県仙台市では、税金の徴収にBPOを活用し、効果をあげています。

税金の徴収には電話や文書での督促や、滞納者の財産調査など、多岐にわたる対応が必要になります。また、徴収システムの構築や、税制の変更などによるシステムの保守や変更など、地方自治体にとっては負担になる業務も多くなっています。

仙台市は、システム開発やコールセンターの運営などを一括でアウトソーシングすることによって、コスト削減を行うとともに、自前で調達が難しいシステマーの確保や、土日の納税者対応などが可能な人材の確保を行っています。

収納率は平成24年からの3年間で10%向上し、国民保険の収納率も3年間で5%向上しました。

また、システム化に関しては、自治体間で共通する業務が多く、二重投資を避けるために、自治体クラウドシステムの導入や、コードの共通化によるコスト削減をBPOベンダーも進めています。
地方自治体のBPOの方向
今、地方自治体の現場では、大きな制度変更への対応を余儀なくされています。全国14万人の県費負担教職員の給与振り込みや勤務条件などを政令指定都市が定めることになりました。業務量の大幅な増加は、BPOの導入を促進します。

2015年に閣議決定された「骨太の方針」によって、行政事務の民間への委託推進、BPR(Business Process Restructuring)を通じた、質の高い公共サービスが求められています。窓口の総合化が解決策として提案されていますが、そのためには既存業務の可視化が求められています。

今後の自治体の取り組みについては、事務代行サービスや施設運営代行サービス、IT関連サービスにといった従来型のBPOサービスに加えて、地方公共団体にとって財政負担の大きい、水道や下水道事業、病院、空港、クルーズ船向け旅客ターミナル事業などが考えられています。

しかし、海外の水道事業の民営化によって、水道料金が値上がった失敗例もあり、規模の大きなBPOに関しては、将来を見越した検討が必要になるでしょう。

(画像は写真素材足成より)

(画像はイメージです)

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