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工場を持たない「ファブレス化」のメリット

2019.01.28

コラム

工場を持たない「ファブレス化」のメリット

ファブレス化のメリット
ファブレス化は、日本の伝統的な製造業の発想からはかなり違和感のある手法ですが、激しい環境変化の中で世界を相手にするビジネスにおいては、選択肢のひとつとして考慮する必要があります。
今回はファブレス化によってもたらされるメリットについて考察してみたいと思います。

ファブレス化のメリットは、工場を持たないことで、膨大な設備投資資金が不要になることです。

その結果として、研究開発や企画に潤沢な資金を供給することができます。さらに、外部の工場を活用することで、いつでも最新、最強の製造環境が選択でき、市場の急激な変化にも身軽に対応することができます。
設備投資負担の軽減
ファブレスの意味は、工場(Fabrication facility)を持たない(less)経営手法を指します。自社で企画・設計した商品の製造を他社に委託し、できあがった商品を自社ブランドで販売します。

この手法を早くから取り入れたのが、製品ライフサイクルが短く、高額な設備投資を必要とする半導体などの産業です。

半導体分野では半導体の集積率が18カ月で2倍になるというムーアの法則が有名です。この法則に従えば、2年も経たないうちに設備の陳腐化が進んでしまいます。

このような業界においては、設備投資を自前で調達していくために、莫大な資金が必要になります。ファブレス化することによって、生産を外部に委託し、資金効率の高い経営を行うことができます。似たような概念にOEM(相手先ブランドによる生産)という概念があります。

コンピューターメーカーのアップルは典型的なファブレス企業です。iPhone の生産は中国のホンハイが受託しており、この事例でいえば、ホンハイはアップルのOEMメーカーということになります。

ファブレス経営は、資金が潤沢でないシリコンバレーのベンチャー企業などが良く採用しています。
経営資源の有効活用
設備投資や製造工程の管理などに人や資金を投下する必要がないため、企画や開発などイノベーティブな分野に資源を集中できます。他社を上回るコアコンピタンスな分野に資源を集中することで、競争力の強化を図ります。

日本の医療・医薬の分野も、別の意味でファブレス化を進めています。医薬業界は生活習慣病の開発がひととおり終了したこともあり、がんや中枢神経などに開発ニーズが移るにつれ、創薬の難易度がどんどん高くなってきました。

米国の調査によれば、2000年から2010年に開発された新薬の開発費が約3000億円なのに対し、今後は2倍から3倍の資金が必要とされています。

このような背景から外部の開発機関に開発を委託する傾向にあります。本来のファブレス化とは方向が若干異なりますが、ひとつの考え方ではあります。
変化への対応と選択
ファブレス化のメリットは、商品に合わせて最適な工場を選ぶことができる点です。今日のように市場の変化が大きい時代には、自社工場を持つことがリスクにつながることもあります。

外部に生産を委託することによって、それぞれの製品にマッチした工場を選ぶことができます。自社で複数の製品ラインを保有することは、資金的にも負担が大きくなり、資金回収までに長い期間が必要です。

ファブレス化によって、コアコンピタンスである企画や開発に資源を集中することで、市場の素早い動きに対応し、柔軟に製造ラインを構築することができます。このことによって、アイデアを商品につなげるスピードの向上を図れます。
まとめ
ファブレス化はシリコンバレーのようなイノベーティブなビジネスのスピードアップを実現しました。

しかし、アリババグループのジャック・マー氏は、今後のビジネスは、イノベーティブから、人材育成型のビジネスにシフトするとも発言しています。ファブレス化の今後が注目されます。

(画像はPAKUTASOより)

(画像はイメージです)

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