高度なBPOニーズ
BPO(Business Process Outsourcing)は、2000年以降わが国のビジネスシーンでもよく聞かれるようになってきました。しかしながら、欧米に比べるとその浸透は必ずしも高いものではなく、米国に比べるとまだ1割程度にとどまっています。
その要因としては、終身雇用をベースにした、わが国のビジネス基盤とのアンマッチや、一度導入すると、固定費として固定化してしまうこと、アウトソーシング業務がブラックボックス化して、企業の総合的な施策が停滞する弊害を認識しているからと言われます。
BPOコンサルタント
このような課題を解決するために、BPOコンサルタントと言われるプレイヤーが出現しつつあります。
BPOコンサルタントの特徴は、単純に業務を受託するだけでなく、受託した業務の継続的な改善や付加価値機能の提供、顧客企業のBPO戦略への総合的な提案を行い、環境変化へのアグレッシブな適応を提案します。
顧客企業にとってはガバナンスを維持しつつ、ビジネスの最適化を継続できること、そしてコンサルタントにとっては、ビジネスの新たな需要拡大という両者のメリットがマッチしたものです。
BPOコンサルタントの強み
BPOコンサルタントの持つ強みは、以下の3つがポイントになります。
①顧客企業が広範囲に及ぶことから、共通のテンプレートの提供や、業界を横断したシェアリング・サービスや、BPOの提案ができること。
②コンサルタント事業で培った企業の問題発見能力と課題解決能力によって、企業経営の健全化を進めることができる。
③ITやAI、RPA(Robotic Process Automation)などの最先端技術の活用によるマーケティングや経営への戦略提案ができる。
非定型業務の受託
BPOコンサルタントは通常のBPOのように、単に業務を受託しオペレーションするだけでなく、企業と一体となって、業務改善や業務改革を推進することで、従来業務の可視化が難しく、業務プロセスの切り分けが難しい、非定型で高度な業務の外出しを可能にします。
BPOコンサルティングは欧米のKPO(Knowledge Process Outsourcing)に近い概念です。KPOの世界市場はGlobal Information Inc.によれば、2015年から2019年に、年平均で23%の高い成長が予測されています。
フォーチュン上位500社のうち、2割以上の企業がKPOを既に導入しており、欧米では、そのうちかなりの部分がインドに発注されています。
インドがこの分野でリードしたのは、高い教育を受けた人材がいることと、KPOベンダーが世界規模でネットワークを構築し、24時間態勢でサービスを提供したことがポイントになりました。
英語を中心に多言語に対応できる人材をそろえ、オフショアを中心に低価格で会計士やコンサルタントなどの人材を供給できることも特徴です。
わが国のKPOの現状
わが国におけるKPOの導入はまだまだ微々たるものです。
その要因としては、日本語や日本人の持つ「あうんの呼吸」や「暗黙の了解」に対する不安。サービス品質やセキュリティーに対する過剰反応。リーダーと責任の不在。属人的な業務が多く、マニュアル化が進んでいないので、可視化が遅れていることなどです。
さらに、法律による障壁で、弁護士や公認会計士、社会保険労務士などの海外資格が、日本で利用ができないといったこともKPOの導入を妨げています。
まとめ
このような状況下で、わが国のKPOニーズに対応するのが、BPOコンサルタントです。日本語が通用し、日本特有のビジネス環境や日本的経営も熟知し、勘所を抑えられるのがBPOコンサルタントかもしれません。
(画像は写真ACより)
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