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自前主義から脱却、製薬企業のBPOとファブレス化

2018.11.14

コラム

自前主義から脱却、製薬企業のBPOとファブレス化

製薬業界の地殻変動
本来のファブレス化とは若干意味が異なりますが、医療、医薬分野では、今大きな地殻変動が進行しています。2000年以降、世界の製薬会社の合併が進み、世界の製薬業界の再編が進んでいます。
残念ながら、日本の製薬会社は世界のトップ10外で、17位にやっと武田薬品工業がランクインしています。世界1位のファイザーや、ノバルティスは武田薬品工業の約3倍の規模になっています。
経営環境の変化
このような再編の背景には次のような経営環境が存在します。最も大きな要因は、新薬開発力の低下です。

医薬品業界は画期的な新薬を開発することによって、その後の利益を確保することができましたが、生活習慣病の創薬がほぼ終了したことで、今後の新製品開発は従来に比べ、技術的にも難しい分野に入り、開発費は従来の3倍とも言われています。

2000年前後の中堅医薬品メーカーの再編や、リーマンショック前後のグローバル企業の再編は、研究開発費の高騰や、研究開発生産性の低下が要因にもなっています。

もちろん、合併によって重複していた部門の集約化による効率の向上も再編の要因になりました。
今後の製薬業界のビジネスモデル
製薬会社の再編については、落ち着いていますが、今後の製薬会社は大きく分けて4つのビジネスモデルに整理されるだろうと言われています。

具体的には、ニッチ分野に特化していく新薬開発型企業、既存の販売チャネルを有効活用し、他社のライセンス品、ジェネリック医薬品などで収益を上げるインフラ型医薬品メーカー。

さらに、ジェネリック医薬品の委託製造に特化した製造特化型企業、そして医療用医薬品から一般医薬品までを手掛ける、ごく一部の総合ヘルスケア企業に分類されます。
日本の製薬企業の動向
このような企業環境の中で、日本の製薬企業にも変化が現れています。従来自前で開発から製造までを行ってきた日本の製薬企業が、創薬のコスト拡大や生産性低下などを受けて、医薬品開発受託機関(CRO: Contract Research Organization)への開発委託を拡大しています。

最近ではこの動きを工場部門の外部委託「ファブレス」に模して、「ラボレス」といった言葉で表現しています。

日本最大の製薬会社※である武田薬品工業も、創薬支援サービスを支援するアクセリード ドラッグディスカバリーパートナーズを立ち上げています。日本CRO協会によれば、CRO協会会員の売上高は、2017年に前年から17%増の1957億円前後になると予想しています。

また、医薬品業界の構造変化の中で、空白の治療領域に特化して創薬に取り組むシンバイオ製薬といった企業も出現しています。
ラボレスに対する見方
これらの動きはファブレスの基本の発想である、コアコンピタンスを自前で、設備投資などの資金がかかる製造分野を外部にという動きとは若干異なっています。

また、本来製薬企業の競争力の源である創薬の分野を外部にという動きには、“安全性の担保ができるのか”といった業界内部からの危惧もささやかれています。

製薬会社のトップも“外部に託すだけでは知見が失われる”、“外に出すとかえってコストが高くつく場合がある”といったコメントを出しており、現在の動きが100%正しいとは考えられていません。また、このような動きは、結果的には次の再編につながる可能性もあります。
まとめ
日本の製薬企業は、医療費削減を望む政府の薬価改定などの施策によって、市場の大幅な縮小が予想されています。

2018年4月の薬価改定では7200億円の市場が消滅しています。今後の市場規模は年間マイナス1.5%という予測もでています。ファブレスやラボレスなどあらゆる経営施策の展開や、市場の再編が求められています。

(画像はPAKUTASOより)

(画像はイメージです)

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