金融とBPO
金融は早くからBPOを導入している業種です。
オクスフォード大学のオズボーン氏がまとめた、「雇用の未来」という出版物で、10年間で無くなる仕事の1番上位にランクされたのが、銀行の融資担当者、5番目が保険の審査担当者、13番目がクレジットカードの承認・審査担当者と金融関係の仕事が上位に入っています。
金融機関はIT技術によって大きく変化せざるを得ないのと、法律などの制度改正に伴って態勢を素早く変える必要があります。特にコンプライアンスに関しては、世界の政府が金融機関に対し監視を強めており、規制強化への対応が常に求められています。
また顧客からの情報ルートが、紙だけでなくWEBなどへ多様化しており、業務の複雑性がさらに増している業界です。
銀行分野のBPO
銀行におけるBPOの導入は比較的早い時期からスタートしています。1990年代バブル崩壊とともに、企業活動の主軸がコスト削減にシフトしたこともあり、単純定型作業の外出しが始まりました。事務集中センターなどのアウトソースで、店舗は事務処理の拠点から、セールスの拠点に移行しています。
「集中化」「無人化」「標準化」「簡素化」などが事務処理分野の業務プロセスの改善テーマとなりましたが、主に集中化がBPOの対象となりました。
金融ビッグバンの一環として、1997年に銀行窓口における投信販売が開始され、2002年には銀行・保険・証券の各代理業が解禁され、銀行の業務が拡大・多様化すると、それに対応した営業店販売支援や口座管理などのBPO業務も拡大しています。
BPOベンダー間の差別化も難しくなりつつあり、経営分野などの非定型業務への参入も増えています。
銀行もコンプライアンスの強化や、制度改正の変化に対して、早期に対応するために、BPOベンダーに業務ノウハウまでアウトソースし、ベンダー自体が、業務プロセスを提案するワンストップ化を進める動きもあります。
保険分野のBPO
保険業界は沢山の書類が発生し、それを長年履歴として保管する必要があります。電子化業務のBPOや、コールセンター、ヘルプデスクなどの事業支援サービスや、総務・経理・人事といった企業のバックオフィス部門のBPO化を進めています。
保険分野も競争が激しくなっています。
WEB系のマーケティングの導入や、保険見直し系のサービスが出現する中で、ダイレクトマーケティングセンターから顧客にコンタクトし、直接ファイナンシャルプランナーが顧客を訪問、コンサルテーションをしながら、最終契約までフォローするような業務もアウトソースされています。
不動産分野のBPO
不動産業界も他業界と同様、定型業務のBPOを進めています。具体的には、不動産は高額商品であることから、売り主、買い主のリスクを軽減するために、重要事項説明書があります。
重要事項説明書の調査、作成、チェックは非常に大きな負荷になります。契約書の作成、ローン登記手続きなどの業務を含めたBPOなどが行われています。
また、最近では不動産探しもインターネット経由が増えています。
「アットホーム」「いい部屋ネット」などの代表的な不動産ホームページへの物件登録データセンターなどのBPO事業、総務業務のアウトソース、アパートやマンションの不動産管理において発生する、水道や鍵、電気、ガス、ガラスなどのトラブル対応のためのコールセンターなどもBPOの対象になっています。
まとめ
今回は金融・不動産関係のBPOビジネスについて整理しました。これらの業種は伝統的に人員集約型の産業でしたが、今日、インターネットなどを活用し、省力化、集中化などを通じBPO化を進めています。
(画像はイメージです)