ビジネスプロセスの文書構造
実際にビジネスプロセス管理を行っていく上で、どんな作業に取り組めば良いのでしょうか、今回は、BPMを進めるために必要となる文書について整理したいと思います。文書を作成することが、共通認識と課題の発見に大きな力になります。
ビジネスプロセス文書には「プロセス俯瞰図」「プロセス設計文書」「プロセス実施手順書」の3つの文書が存在します。
これらの文書は階層的になっていて、全体像を示すのがプロセス俯瞰図です。それを業務毎に整理してまとめたものがプロセス設計文書です。そして、業務毎のマニュアルがプロセス実施手順書になります。
プロセス俯瞰図
プロセス俯瞰図はビジネスプロセス全体を把握するための文書です。KGIやKPIを設定する場合、ビジネスの基本的な構造を理解するために作成します。文書としてはプロセスマップや戦略マップ、ファンクションマップなどが含まれ、主に役員や部門長などの意思決定者が活用します。
プロセスマップは、最上位のビジネスプロセスを図式化したもので、プライマリーマップと呼ばれることもあります。戦略マップは、目標やビジョンを実現するための道筋や、解決のためのストーリーをチャート化し、戦略の全体像や意味付けを確認できます。
ファンクションマップ及びデーターマップはプロセスマップを補完します。ファンクションマップはコンサルティング系、データーマップはシステム関係者などが活用する傾向があります。
BPR(Business Process Re-engineering)のように、ビジネスプロセス全体の構造変革を行うような場合は、ビジネス俯瞰図やプロセス設計文書が主体になります。
プロセス設計文書
プロセス設計文書はビジネスプロセス管理で最もよく使われる図かもしれません。業務フローを中心に、ビジネスプロセスの構造を明確にし、変革を進めるために使われます。
業務フローを中心とした文書については、BPMN(Business Process Management Notation)という記述のための規格があります。この規格にそって記述することで、情報の共有化やシステム化を進めやすくなります。
プロセス設計文書は業務フロー、規定・ルール集、データーモデル等が含まれます。部門長、プロセス管理責任者などが利用し、制度設計やシステム開発などで利用されます。
プロセス実施手順書
プロセス実施手順書は日常の業務で利用される各種のマニュアル、チェックポイント表、資料集などが該当します。
研修や作業マニュアルとして、実際の業務に利用されるので、実務を担当する方が活用します。
プロセス実施手順書は細かな内容が多くなるので、フローに表現しにくいものは、文章などで記述する、ユースケースシナリオと呼ばれる手法を活用します。
コンピュータの設計文書などに慣れない現場の方にはわかりやすい手法です。PDCAを回しながら細かい部分の改善を進めていく時には、プロセス実施手順書が利用されます。
プロセス実施手順書などの修正を行った場合は、常に上位のプロセス設計文書との整合性のチェックが必要になります。
プロセスの可視化で課題を抽出
ビジネスプロセス管理で、文書化を進める目的は、なんといってもプロセスの可視化です。可視化することによってチームメンバーの間に共通認識が形成され、課題や問題点が抽出されます。
現場でよくあることですが、同じ言葉を使っているのに、話が通じないことがよくあります。特に、現場とトップの間には、普段共通の知識、認識がないことで、コミュニケーションギャップが発生します。
文書化を進めることで社内コミュニケーションが活発になり、お互いに理解が進み、課題の共有化につながり、業務改善、改革が進みます。
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