IT関連の業務においても、アウトソーシングを実施
企業においては、業務の効率化や政府主導による「働き方改革」を実現するため、これまで自社で行ってきた業務を外注委託する事例がみられます。
業務をアウトソーシングする方法としては、経理や人事の業務など、いわゆる支援的な業務を一括的に委託する「BPO」(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)がありますが、そのほかにも「ITアウトソーシング」が行われています。
ITアウトソーシングの内容について、詳しくみていくことにしましょう。
ITアウトソーシングの概要について
ITアウトソーシングとは、コンピューターを利用する業務や、インターネットに関連した業務など、IT関連に特化したアウトソーシングのことです。
なお、ITアウトソーシングは「ITO」、または「IT系BPO」と呼ばれることがあるため、BPOの一形態と言うことができます。
ITアウトソーシングは、BPOと同様に、人手不足への対応やコスト削減を目的として行われます。ITアウトソーシングの外注先は日本国内が一般的となっているものの、業務内容によっては、海外の企業に委託することも可能です。
そのため、ITアウトソーシングを行うことにより、コストの削減が期待しやすいと言えます。
ITアウトソーシングの市場規模はどれくらい?
次に、ITアウトソーシングの市場規模についてみていくことにしましょう。
矢野経済研究所は2016年11月、「BPO市場・クラウドソーシングサービス市場に関する調査(2016年)」(以下、同調査)の結果を発表しました。
参考:矢野経済研究所
BPO市場・クラウドソーシングサービス市場に関する調査(2016年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1612同調査においては、BPOを「IT系BPO」と「非IT系BPO」に分けていますが、2015年度におけるBPOの市場規模は3兆7051億円、そのうちIT系BPOは2兆929億円となりました。
BPO全体の構成からみると、IT系BPOが半数以上を占めている状況ですが、その理由としては、全般的にIT系の業務は専門性が高く、高単価で業務を請け負うことが可能となっているためです。
IT系BPOの市場は安定的であることから、市場規模は今後も拡大すると見込まれており、同研究所は、2020年度のIT系BPOの市場規模を2兆4174億円と予測しています。
ITアウトソーシングの主な業務とは?
ITアウトソーシングにおいては、どのような業務のアウトソーシングを行うのでしょうか。具体的にみていくことにしましょう。
一例をあげると、「管理プログラムの作成」があります。管理プログラムの作成においては、プログラミングの知識が必要となりますが、自社内でITに詳しい人材を育成するのは難しい状況であるほか、現在は人手不足に拍車がかかっており、IT人材を募集することも困難な状況と言えます。
そのような状況こそ、ITアウトソーシングが効果的と言えます。ITに関する専門知識が豊富なアウトソーサーにアウトソーシングをすることで、質の高い管理プログラムの作成が期待できることでしょう。
上記の例のように、ITアウトソーシングにおいては、IT関連の業務そのものをアウトソーシングすることが一般的ですが、場合によっては、IT専任担当者をアウトソーシングする例もあります。
本来であれば、自社内にIT専任担当者を配置するのが理想ですが、ITに詳しい専門担当者を外部に委託することで、コストを削減しつつ、より効率的なIT機器の導入や管理・運用が実現します。
ITに関連する業務は専門的であり、自社内での運用は難しい状況と言えますが、専門的な業務こそアウトソーシングを活用して、業務の合理化を実現していきましょう。
(画像は写真ACより)