KGI(重要目標達成指標)
KGIは重要目標達成指標といわれ、ビジネスプロセス管理でKPIとともに使われる指標です。
(画像はイメージです)
KGIとKPIを整理し、俯瞰するツールとして利用されるKPIツリーでは、KGIが一番上位に位置し、その下にKPIがツリーとして位置します。つまり、ビジネスプロセスの達成すべきゴールがKGIになります。
例えば、3年後に業界No.1を目指すという経営の考え方があれば、目標達成指標としては、現在の業界No.1企業の売上と、自社の売上の差を0にし、さらにプラスにするというのがKGIになります。
KPIの策定
3年後に業界No.1という目標が設定されたら、次はより具体的で、ゴールを達成するためのKFS(Key success factor)を整理します。
外食産業でしたら、資金的な余裕があれば自社店舗の拡大やフランチャイズ展開が最も近道になります。もちろん、消費者に味や、店舗が受け入れられることが基本です。
この場合KPIは店舗数ということになります。競合企業の動向なども加味しながら、年間の店舗数の増加を40と設定します。同時に既存店舗全体の売上伸び率を1.5%と設定し、既存店舗の活性化も狙います。
長期と短期
KGIは長期の目標ですから、3年間は目標値を変更することはありません。もちろん計画以上のスピードで目標を達成すれば別です。それに対し、KPIは経済環境や市場環境の変化に対応し、臨機応変に変化させていきます。経営という領域でPDCAを回します。
KPIはKGIによって整合性を保つ
期間計画を立てる時に、各部門がそれぞれ個別に目標、計画を策定し、それをまとめて事業部や全社計画にしていくというボトムアップ型の期間計画を立案している企業も少なくありません。しかし、最近の企業構造は多様で、場合によっては事業部間で競合することもあります。
例えば、自動車産業では、ディーラー間によって扱い車種が競合することがあります。また、自動車の販売事業と、レンタカーやカーシェアリング事業との競合、中古車販売事業との関係など、複雑にビジネスが入り組んでいます。
このような場合、KGIがしっかり設定されていないと、個別のKPIが互いに影響し、KPI間の矛盾を産み出し、業績へのマイナスになります。KGIとKPIの関係をしっかり位置付けたKPIツリーを構築し、ビジネスプロセスの整合性を保ちます。
OKR(Objectives and Key Results)
GoogleやFacebookでは、全従業員が目標(Objectives)と、目標を分解した成果(Key Results)を共有し、個人やチームの目標を明確化する試みを行っています。KGI、KPIと比べるとシンプルであることが特徴で、社員が参加しやすく、共有化しやすい方法です。
財務省の資料によると、わが国の企業268社中、KPIを導入している企業は約半数の47.4%、KPIの設定数は4~7つが多く、重視されているのは予算数値の達成状況、組織目標の達成への進捗状況です。KGI、KPIという言葉は使われているものの、実際は従来の事業計画の管理手法を踏襲している形になっています。
まとめ
KGIは長期的に到達すべき最終ゴールを提示するもので、それ自体は従来の長期経営目標と本質的に異なることはありません。むしろKPIを展開する上で、KPIとの整合性、一貫した戦略の統合性のために意味あるものとなります。
一方、情報化、IT化は生産の場や、スタッフ部門の中に着実浸透してきていますが、いまだに経営という分野での成果に目に見えたものはありません。KGI、KPIといった指標を設定し、プロセス管理をしていくという考え方は、経営という分野にITを組み込むためのひとつの切り口になるかもしれません。