求められるプロセス管理
2000年以降、連結決算などの導入によって、企業組織の大型化、複雑化が進みました。
プロセス管理は、このような企業構造の変化にともなって、見えにくくなってきた事業のプロセスを整理して、最も効率的なビジネスプロセスに組み替えることによって、顧客のニーズを満足し、業績を最大化するマネージメント手法です。
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ビジネスプロセス管理を進めるために、まずビジネスプロセスの構造を分析し、理解するために見える化し、標準化、共通認識化を進めます。そして最適プロセスを構築し、PDCAマネージメントで繰り返し改善を進めます。
マネージメントプロセスの特徴
ビジネスプロセスには、マネージメント(経営)プロセス、オペレーション(管理)プロセス、サポート(支援)プロセスの3つのプロセスが存在します。
マネージメントプロセスは企業統治や戦略マネージメントといった典型的な企業の経営や統治のためのプロセスで、企業や事業の方向付け、運営を行います。
マネージメントプロセスがオペレーションプロセスやサポートプロセスと異なるのは、マネージメントプロセスが長期的な視点で、将来の企業のあるべき姿を、社会、経済、市場、競合などの諸変数を整理して、構築する点にあります。
オペレーションプロセスとの比較
オペレーションマネージメントは意思決定された戦略に基づき、経営資源(人・モノ・金・情報)を最適配分して、マネージメントサイクルに落とし込む作業であるのに対し、マネージメントプロセスは不確実性を組み込んだデザイン作業になります。
オペレーションプロセスが最適値を求めやすいのに対し、マネージメントプロセスは答えの出にくいプロセスでもあります。簡単に可視化することや、IT化しにくい人間系、意思決定系のプロセスでもあります。
オペレーションプロセスは、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを導入しやすく、業務を継続するなかで、改善を進めることができますが、マネージメントプロセスは、オペレーションプロセスのように、定形化することができない非定型的プロセスが含まれます。
マネージメントプロセスの管理手法
しかしながら、マネージメントプロセスでも少しずつ管理手法が開発されています。
企業統治(コーポレートガバナンス)は、投資家、株主、従業員などのステークホルダーの利益を守るための企業経営の統制、管理を行う機能です。企業活動の透明性と公平性を守ることを目的としています。
ここでは、リスクマネージメントも管理手法として利用されています。リスクをその影響の大きさや範囲で評価し、あるレベル以上の場合は参入しないなどの意思決定基準を設けるなどの手法を導入することもあります。
また、意思決定にあたっては、多重チェックができるような仕組み作りや、モニタリングシステムの導入などが考えられます。
ビジネスプロセス管理という言葉も、いくつかの切り口があります。マネージメントの視点からは、ワークフローやモデリングという観点でとらえられています。文書化、チャート化、モデリングを通して改善していこうという考え方です。
IT技術の導入
一方、IT関連業界分野に所属する人たちは、自動化できるビジネスプロセスを発見し、タスクの自動化を進めようと考えます。ビジネスプロセス管理は両方の機能を有機的に適用していく必要があります。
自動化テクノロジーには、単純なルーティンを自動化するロボティック・プロセス・オートメーション、意思決定の補助ツールとして利用する非ルーティング型のコグニティブ・オートメーション、人間とのやり取りによって学習進化するソーシャルロボティックスといった自動化技術があります。
将来はマネージメントプロセスの分野でも、このような自動化技術によるビッグデータの活用や学習機能の活用で、戦略的な経営提案が期待されています。