地震大国日本
BPOとして委託している業務は、自社の事業にとっても大切な業務です。なんらかの災害で業務が停止すれば、その影響は大なり、小なり発生します。今回は委託先のセンターや事業所が災害を被った時のための対策の概要について整理します。
最近の大きな災害としては、2018年の夏の台風や豪雨、北海道胆振東部地震、2016年の熊本地震、2011年東日本大地震などが代表的です。地震大国日本ということで、地震をはじめとして、自然災害が多いのは仕方ないかもしれませんが、被害を最小限におさえることが大切です。
災害対策
災害へのハード面の対応としては、地震対策、停電対策、火災対策が基本になります。地震対策としては、まず建物の耐震性が最低限必要となります。建物の堅さと強さで地震に備えるのが「耐震構造」です。建物の揺れは他の工法に比べ大きくなります。
「制振構造」は、建物内に配置した制振部材(ダンパー)によって、地震エネルギーを吸収し、建物の揺れを抑えます。耐震構造に比べ、建物の層間変形は少なくなります。
「免震構造」は、アイソレーター(ゴム、金属、ばね等)で建物を浮かせ、ダンパーで地震エネルギーを吸収します。耐震、制振構造に比べ、層間変形の少ない構造です。
停電対策、火災対策
データセンターなどでは、地震に対する対策と同時に停電に対する対策が不可欠です。特にコンピューターが停止することは極力回避する必要があります。電力回線を2回線用意し、ループ受電方式などを利用して、電力供給がストップしないようにします。
コンピューターには無停電電源装置(UPS)を設置し、急な停電に対応します。また、自家発電装置などを設置し、一定時間の対応を行います。自家発電装置は東日本大震災時に、計画停電などに対応するために、補助金政策などもあり、多くの企業に導入されています。
火災に関しては火災感知器(熱、煙)やスプリンクラーの設置、コンピューターは水を使わずクリーンに消化できるガス消火装置を使用します。
BCP(Business continuity planning:事業継続計画)
ハード面で災害対策を行うとともに、事業を継続するためのソフト面での対応が求められます。
BCPは災害などの緊急事態が発生した時に、最小限に損害を抑えるとともに、事業の再開や復旧に向けて、事前に組み立てる計画です。設備や建物が無事であっても、業務を動かす人材などが集まらなければ、業務の再開ができません。
不足する経営資源をどのように確保するのか、あらかじめ想定シナリオを用意します。特に、業務継続に不可欠なボトルネック資源の調達が重要になります。売り上げや利益、信用、法令など複数の視点で、重要な業務を特定し、ビジネスインパクト分析を行い、BCP計画を策定します。
委託先のBCPを構築するとともに、発注者としての自社のBCPと委託先のBCPがうまく連携される必要があります。災害が発生した時には、人、モノ、金といった経営資源が限られてきます。その中で、何を優先業務にするのか、中核事業、優先事業の選定と対策を適用します。
クラウドの活用と情報セキュリテイ
最近はクラウド技術を活用することで、大きな災害があっても、別の場所からアクセスすることで、業務を継続する仕組みを構築しているセンターもあります。クラウド技術を活用することで、スマートデバイスを利用して、何処からでもアクセスできる仕組みも構築できます。
当然ながら、情報セキュリテイは委託先、発注先ともに重要な管理項目になります。最近は雇用形態も多様化されており、社員、派遣社員、アルバイトなど多様な人材がセンターを利用することになります。また、クライアントや協力会社の人員もセンターを利用します。
災害時にもセキュリテイ管理が必要です。センター内の空間使用権の設定や入室管理、人員、媒体のリアルタイムロケーション管理を徹底します。セキュリテイ会社やシステマーなどがBCP支援サービスや、安否確認サービス、災害情報サービスなども提供しています。
まとめ
日本の企業は、トヨタ方式など、日常の生産システムの最適化を実現しましたが、災害時には、部品の調達などで、この仕組みがあだとなることもありました。ホンダは東日本大震災を機にBCPの見直しを行い、熊本地震では熊本製作所が被災しましたが、BCPがうまく活用できたとしています。
(画像は写真素材足成より)
(画像はイメージです)
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