定型業務と非定型業務
BPOは一般的にコア業務を自社に残し、非コア業務をアウトソーシングすると言われますが、中には非コア業務でも、アウトソーシングしにくい業務も存在します。今回はアウトソーシングしにくい業務について探索したいと思います。
業務には定型的な業務とパターン化できない非定型業務が存在します。アウトソーシングに適した業務は基本的に定型業務で、時間や件数の目標が立てやすい業務が、管理面でも取り組みやすくなります。
非定型業務の代表が、企業の戦略レベル、戦術レベルの企画業務や判断業務です。企画業務は、無から有を創り出す作業でもあり、基本的に生産性や効率が測定しにくく、業務全体の経験や環境分析などの広い知見が求められます。
定型業務には確定した順序関係が存在しますが、非定型業務は順序が前に戻るなど、複雑な動きをするので、アウトソーシングには適しません。
判断業務も同様です。二者択一や課題があらかじめ想定され、デシジョンが決められるものについては、マニュアル化をするなどして、組み込むことはできますが、アウトソーサが独自に判断して、業務を行うことは責任上できません。
ビジネスプロセスは一般的に、マネージメントプロセス、サポートプロセス、オペレーションプロセスの3つに分類することができますが、アウトソーシングするプロセスは、サポートプロセスとオペレーションプロセスが中心になります。
資格が必要な業務
業務の中には、法律上資格者でしか処理できないものがあります。弁護士や公認会計士、税理士などの専門業務は、資格を持つ人だけが独占的に取り行うことができます。このような業務については、アウトソーシングすることはできません。
インドが中心ですが、海外にはKPO(Knowledge Process Outsourcing)といわれる、弁護士や会計士、医師などを組織化してアウトソーシングを受託する企業もありますが、日本ではこのような動きや評判はあまり聞きません。
また、証券業務ではITO(Information Technology Outsourcing)といった、株価の分析など、知識集約型の業態も海外に存在します。
出来るだけ避けたい業務
当然ながらコア業務についてはアウトソーシングするべきではありません。コア業務そのものが、企業の優位性や差別化を産み出す大事な業務ですから、この業務をアウトソーシングすることは、競争力が保持できなくなります。
また、現金を扱う業務も顧客とのトラブルや不祥事が発生する可能性が高いので、避けたい業務の一つですが、現実には映画館や、美術館の受付業務の多くが派遣や、アウトソーシングで運営されています。
映画館、美術館レベルであれば、それほど大きな金額ではありませんし、チケット販売システムなどを導入すれば、管理できるのでそれほど問題ありませんが、有価証券など多額のものを扱う場合には、責任の所在などをしっかり取り決める必要があります。
アウトソーシングはしっかりとした制度設計が必要
アウトソーシングに関しては、しっかりとした準備と教育、そしてシステムが必要になります。
従って、短期間で終了するような業務については、アウトソーシングにはなじみません。人材派遣やアルバイト的な感覚でアウトソーシングを導入しても成功しません。時間をかけてPDCAを回して、改善していく必要があります。
最後に整理すると、高いスキルが必要で、業界知識も要求されるような案件はアウトソーシングには向きません、業界知識が必要でも、それほど高いスキルを必要としないなら、情報システムをうまく組み立てることで、アウトソーシング可能になります。
高度なスキルが必要で、業界知識がそれほど必要ない場合は、アウトソーシングもしやすいですが、高度な人材を集めるために、コストも当然かかってきます。スキルがあまり必要なく、業界知識もあまり求められないなら、アウトソーシングというより人材派遣の世界かもしれません。
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