アウトプットの観点から見直す
ビジネスプロセスはインプットされたものを、なんらかの処理をして、アウトプットすることによって成り立っています。インプットされるもの、アウトプットされるものは、一般的に人、モノ、金、そして情報になります。
このようなインプット(Input)、処理(Process)、アウトプット(Output)をプロセス、あるいは業務の基本三要素として、「IPO」と呼んでいます。具体例でIPOをシンプルに説明したいと思います。
IPOの流れ
野菜や果物を原材料にジュースをつくるプロセスは、インプットが野菜や果物で、それらをジューサーにかけるのが処理、そしてアウトプットがジュースということになります。
アウトプットされた成果物は、他のプロセスのインプットとなり、さらに処理が加えられ、アウトプットされます。先ほどのジュースはカレーの材料としてインプットされ、他の材料とともに加熱され、カレーのルーとしてアウトプットされます。
プロセスの成果はアウトプットで決まります。アウトプットがお客様のニーズどおり、あるいはそれ以上の価値と判断されれば、プロセス(業務)は成功ということになります。
お客様は最終消費者の場合もありますが、多くの場合、社内の部門になります。社内がアウトプット先である場合は、アウトプットが次のプロセスのインプットになり、プロセス連鎖が進んで行きます。
このように考えるとプロセスや業務の効率化はまず、アウトプットから考える必要があります。プロセス管理を単なるプロセスの改善としてとらえると、プロセスを当たり前として、その改善に目をそらされてしまい、受け手の期待するものと異なる結果になってしまいます。
ビジネスアナリシスが重要
ソフトウェア開発プロジェクトには多くの失敗例が報告されていますが、1995年のカオスレポートでは、その大きな要因として、ユーザーからの情報の不足、不完全な要求や仕様、仕様の途中変更が原因とされています。
参照
カオスレポート
https://lt-s.jp/lts-column/2016-6-28ここから、企業の業務分析を行う「ビジネスアナリスト」という職業が産まれ、プロセス改善だけでなく、アウトプットが本当に必要なのか、あるいは正しくアウトプットされているかといった視点でのプロセス評価が求められるようになりました。
ビジネスプロセスの革新を進める手法としては、一般社団法人ICT経営パートナーズ協会が推進するビジネスアナリシス方法論「GUSTY-4」が知られています。
GUSTY-4では、ビジネスモデルを起点に、ビジネスプロセス、IT要求モデル、ITモデルの4つのモデルを整合させ、要素分解と詳細化を進めて、構造化を行います。
各プロセスは階層化され、モデリングされます。大規模プロジェクトを複数のフェーズに分解し、フェーズ毎に投資対効果を決め込みながらリスクを最小化します。
アウトプット重視のBPM
BPM(Business Process Management)は、製造業中心で発展してきました。製造業のプロセスは、基本的に製造ラインのプロセスが前提で、プロセス自体が前提になっていることから、インプット、アウトプットの最適化や処理過程の改善が中心テーマになります。
しかし、オフィス部門やサービス部門のプロセスは、マニュアル化した業務というより、状況を踏まえながら、自分の持ち場の仕事をこなしているのが現状です。自分の業務が何のために行われ、どんな役に立っているのかを知らずに作業していることさえあります。
実際、今こなしている作業は必要なのか、アウトプットは活用されているのか、同じような作業をダブってやっていないかなど、プロセス自体の意味や、価値を見つめ直す必要があります。
まとめ
プロセス管理は、GUSTY-4といった、本格的なツールを利用した分析や整理、Eliminate(削減)、Combine(結合)、Rearrange(順序変更)、Simplify(簡素化)といったECRSの視点で見直しを図ることによって、より効果的なプロセスに転換することができます。
(画像はイメージです)