業務に関する一連の流れを管理することが重要
企業においては、日々製品を製造したり、サービスを提供したりしています。
これらの製品やサービスの開発は、マーケティングの結果に基づき、市場の需要を予測した上で行われますが、開発された商品やサービスが売れ筋となるためには、綿密な予測調査はもちろんのこと、開発から販売に至るまでの流れを確実に管理する必要があります。
今回は、業務プロセスの一連の流れを構成する「IPO」について詳しくみていくことにしましょう。
IPOとは?
IPOとは、業務における一連の流れを表す言葉で、「インプット」、「プロセス」、「アウトプット」の頭文字をとったものです。なお、「プロセス」は「処理工程」の意味合いで使われています。
IPOの意味合いを具体的に説明すると、製品の製造を例とした場合、インプットに該当するのが原材料であり、プロセスに該当するのが加工や製造の段階、アウトプットに該当するのが価値のあるものを生み出した段階となります。
ただし、アウトプットによって生み出されたものは、必ずしも完成品であるとは限らず、部品の場合もあります。
この場合はアウトプットによって生み出された部品がインプットとして取り扱われ、処理工程を経て別のものにアウトプットされます。この流れは、製品が完成するまで続きます。
特に、業務を外部に委託せず、自社で業務を処理する「インソーシング」の場合は、業務の質を高めるためにも、IPOを意識した業務を行う必要があります。
「アウトプット」を明確にすることが重要
IPOにおける一連の流れにおいて重要な点は「アウトプット」です。
その理由は、アウトプットが明確でなければ、インプットとプロセスの部分も不明確になってしまうためです。
アウトプットは、言い換えれば「目的」や「ゴール」を指します。製品を製造する目的が、単に「新しい製品を開発する」と言うことであれば、今までと違う製品を開発するにとどまってしまうため、売れる見込みのない製品を開発してしまうことにもなりかねません。
しかし、製品を開発する目的が「ターゲットは20代から30代の女性。女性の心を引きつけるため、かわいらしさを重視した製品開発を目指す。」と具体的な内容であれば、製品の原案や内容が詳細なものとなるため、インプットの段階から明確化します。
インプットの内容が明確であれば、プロセスの段階も明確となり、自然とアウトプットも明確化します。このことから、アウトプットの重要性が理解できるのではないでしょうか。
アウトプットが本当に必要かどうかの見極めも必要
次に、IPOを「効率化」の観点から眺めてみましょう。
先ほどは、製品の製造工程におけるIPOを例にあげましたが、ここでは事務作業におけるIPOを例にあげてみます。
上司が事務的な業務の指示を発案する時点をインプットとします。また、上司が業務を部下に指示し、部下が上司の指示に従って業務を処理する時点をプロセスとしましょう。
この業務の流れにおけるアウトプットは、部下が作成した書類が有効に利用されることです。
しかし、作業全体の流れをみた場合、指示されて行った作業が無駄な状態で終わってしまった、というケースがみられます。
例えば、会議に関する資料作成を行ったとしましょう。会議の資料はすべて利用されるもの、という固定観念がありますが、実際には、資料作成をしたテーマがさほど重要なテーマではなく、資料が活用されずに会議が終了してしまった、ということもあります。
このようなことが起きてしまう理由は、アウトプットが不明確であるためです。事前に、「今回の会議ではAのテーマを中心に話し合うが、時間があったらBについても話し合う」と決めてしまうと、時間がない場合、Bのテーマに関する資料は不要となります。
しかし、事前に「今回の会議はAのテーマについて話し合う」と決めておけば、Aのテーマの資料を用意すれば良いだけなので、資料を作成する側としても無駄な作業を行う心配がなくなります。
業務の効率化の観点からIPOをみた場合も「アウトプットを明確にしておく」ということが重要であることが理解できます。
IPOにおいては、作業の完成した段階を明確にイメージし、その上で作業計画を立てることが重要と言えるでしょう。
(画像は写真ACより)