アウトソーシングとインソーシング 適切に使い分けを
現在では、業務の効率化を目的としてアウトソーシングを導入する企業が増えています。
アウトソーシングの導入でさまざまなメリットが期待できる反面、アウトソーシングを導入しても思うような成果が得られない、という声が聞かれることもあります。
そのような場合は、インソーシングに踏み切ることも視野に入れるべきですが、アウトソーシング、あるいはインソーシングの導入にあたり、事前に両者のメリットとデメリットを理解しておきましょう。
アウトソーシングのメリットとデメリット
アウトソーシングのメリットとしては、専門的な分野の業務を、コストを抑えながら外部に委託できる点です。
専門的な業務を自社にて行う場合、ノウハウの獲得や人員の育成に時間がかかり、コストがかかりがちとなってしまいますが、アウトソーシングを行えば、その時点で専門的な業務が可能となり、なおかつ業務の質が高い点がメリットと言えます。
また、企業の人員が少なく、主力部門以外の部署に人員を配置できない場合も、アウトソーシングを活用すれば、人員不足の問題も解消しやすくなります。
アウトソーシングのデメリットとしては、自社とアウトソーサーとの間で業務の処理に対する考え方が一致していなければ、アウトソーサーの業務内容が自社の求める品質に達していない、ということもあり得ます。
さらに、アウトソーサーの中には、高い品質を求める場合は品質に応じた価格を設定する場合があり、必ずしもアウトソーシングによってコスト削減が実現しないこともあるのです。
アウトソーシングを選ぶ基準は?
アウトソーシングとインソーシングのうち、アウトソーシングを選ぶ基準としては、主力となる業務において支障が生じている場合です。
主力業務とは、直接的に売上を稼ぐ業務となりますが、主力業務に支障が生じている場合、売上の減少につながりかねないため、早急に自社業務のアウトソーシングを検討するべきでしょう。
自社業務のアウトソーシングに適している業務は、業種にかかわらず、経理や人事、総務など、直接的に売上を上げないルーチン系の業務となります。
インソーシングのメリットとデメリット
次にインソーシングのメリットとデメリットについてみていくことにしましょう。
インソーシングのメリットは、業務のノウハウを着実に積み重ねていくことができる点です。
業務を外部に委託せず、自社内で処理するとコストがかかる場合がありますが、専門性に富んだノウハウを構築することができれば、投資したコストに見合った業務が可能となります。
また、アウトソーシングを行わずに、自社内においてインソーシングを行えば、従業員としては常に責任を持って業務に携わることができるため、業務に対するモチベーションアップも見込めることでしょう。
インソーシングのデメリットとしては、経費が増加しやすい点があげられます。
自社内で業務を行う場合、業務に見合った人員を確保する必要があるため、人件費の増加につながります。また、インソーシングを行うことにより、新たな設備やIT機器を導入する場合、設備投資の資金も必要となります。
インソーシングを選ぶ基準は?
インソーシングを選ぶ基準としては、主力業務に支障が生じていないことが前提となります。そのような状況であれば、主力業務の人員を確保しつつ、インソーシングにも人員を割り振りすることが可能となるためです。
例えば、インソーシングを行う業務としては、IT関連の業務があげられます。
IT関連の業務は専門的であるために、IT関連の業務をアウトソーシングする例は多々見受けられます。
しかし、これまでアウトソーシングを行っていたIT関連業務をインソーシングする理由としては、IT関連のノウハウを自社で有していないことにより、先進的な技術を積極的に活用する、というイノベーション的な発想が低くなりがちで、業務の遂行において、他者と比較すると不利になることが考えられるためです。
IT関連業務のように、先進的な業務については主力的な業務ととらえ、自社にてインソーシングを行うことも一つの方法と言えるでしょう。
自社の業務改革を進めるために、外部に委託すべきか、それとも自社にて処理すべきか、ということを明確に判断するためにも、アウトソーシングとインソーシングのメリットとデメリットを把握しておきましょう。
(画像は写真ACより)